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白十字総合病院 小児科

 

五十嵐医師(日本リウマチ学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医)の外来診療について

茨城県(神栖、鹿嶋、潮来、行方、鉾田、稲敷)、千葉県(香取 他)の各市他にお住まいの方に対して良質な医療を心がけています。なによりも、お子さまの通う学校の養護教諭の先生方との連携を大切に考えています。そして養護教諭の先生方からの電話でのお問い合わせにも柔軟に対応しています。また、遠方にある県外のこども病院、県外の小児医療センター、県外のアレルギー、リウマチ膠原病を専門とする医療機関で投薬を受けている方には、受診回数の負担軽減のために当科で一部の処方を行う医療連携も対応できます。

専門内容

①腎臓疾患
 学校検尿(腎臓検診)で精密検査をすすめられた方に対する3次検診(精密検査)を行っています。最初に早朝尿、来院時尿、血液検査、超音波検査を行います。血尿・蛋白尿、蛋白尿の持続が見られる方、慢性腎炎を疑われる方へ腎生検(組織検査)を実施し、治療を決定します。とくにIgA腎症や全身性エリテマトーデスに合併するループス腎炎の治療を専門に行っています。IgA腎症に対しては、扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法を治療の選択肢として推奨しています。
 3歳児検尿で蛋白尿を指摘された方への再検査では、検尿と血液検査に加えて超音波検査を実施しています。
 RI検査は当院に機器がありませんので、日本医科大学千葉北総病院等に依頼して実施します。腎生検は日本医科大学付属病院で実施しますので、当院より紹介します。

②リウマチ・膠原病・自己炎症性疾患
 リウマチ・膠原病(若年性関節リウマチ(若年性特発性関節炎)、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、ベーチェット病、抗リン脂質抗体症候群 他)、周期熱、自己炎症疾患の診断治療を行います。 若年性特発性関節炎の方への生物学的製剤(エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア)治療を行います。RI検査とPET-CTは当院に設置されていないため、日本医科大学付属病院、日本医科大学千葉北総病院等に依頼して実施します。

③アレルギー疾患
1) 気管支喘息:
 胸部エックス線検査、血液検査を行います。病院でお渡しする喘息日記を自宅で記録し、ピークフローを用いた自己管理を導入します。小学生以上では呼吸機能検査を実施します。ロイコトリエン拮抗薬やステロイド吸入の使用で、喘息発作がほとんど出なくなります。気管支拡張剤の吸入を自宅で実施するために、電動の吸入器を購入する場合も外来受診時に説明いたします。注射製剤であるデュピクセントは2023年4月現在、12歳以上で気管支喘息の方が使用できます。デュピクセントはアトピー性皮膚炎に対する効果がよく知られていますので、気管支喘息に合併したアトピー性皮膚炎にも効果を認めています。現在かかりつけ医師で気管支喘息の治療を受けている方も、当院でデュピクセントを処方ならびに使用についての指導を行うことができますのでご相談ください。
2) 食物アレルギー:
 血液検査により、症状が出た原因を調べることができます。
 乳児ではミルク、卵に対するアレルギーが多いです。年齢が上がるにつれ、耐性の獲得といって、卵やミルクを食べてもアレルギー症状(発疹、下痢、喘鳴)が出にくくなります。ミルクアレルギーの方には、代替食品として和光堂から発売されている調整大豆粉乳(ボンラクトi)による食事を用いて通院しながら指導を行います。ボンラクトiは下痢の改善に役立ちます。病院でお渡しする食事日記に自宅でお母様が記録し、アレルギーの原因となる食物がなにかを確認します。血液検査も実施してアレルギーの原因を確認します。運動誘発負荷試験は関連する病院に紹介し、1泊2日程度で実施しています。
 幼稚園、保育園、小学校、中学校に提出する生活管理指導表の記入を、血液検査とあわせて行っています。
 エピペンRの処方と使用についての指導を行っています。併せて学校生活管理指導表の記入を行います。
3) 口腔(こうくう)アレルギー症候群:
 桃やキウイなどの果物や野菜を食べると、くちびるが腫れる、のどがイガイガするなど食後に症状が見られます。花粉症を同時に持つ方も多く、血液検査を行います。
4) RSウィルス感染後の喘息発症について:
 乳児ではRSウィルスが原因の咳や鼻汁とともに、ゼーゼーと呼吸が苦しくなることがあります。その後かぜをひくたびにゼーゼーします。これを感染後喘鳴といいます。ロイコトリエン拮抗薬が症状を和らげるのに有用です。

④低身長
 身長の伸びが最近止まってきた方、低身長で心配される方に、血液検査と下垂体MRI検査を実施し、成長ホルモンが足りないか、甲状腺ホルモンが足りないかを調べます。成長ホルモン分泌刺激試験(検査)は、入院せずに当院小児科外来で行います。成長ホルモンが足りないことが判明した方には成長ホルモン補充治療(自宅で注射をします)を指導します。 最近15年間で50人以上の方が当院で治療を受けられています。初診時は、母子手帳、身長の記録を持参の上受診をお願いしています。

⑤シナジス
 早産・未熟児で生まれた方と先天性心疾患(心臓病)をお持ちの方を対象として、毎年夏ころから翌年春先までのRSウィルスが流行する時期にシナジス注射を行っています。 RSウィルス(Respiratory Syncytial Virus)感染による重篤な下気道疾患の発症制御のため下記の新生児、乳児、幼児の方が対象となります。
 RSウィルス感染流行初期において
 1.在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児  
 2.在胎期間29週〜35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児  
 3.過去6カ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児、及び幼児  
 4.24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児及び幼児 毎月1回注射のために外来を受診していただきます。初診時はお電話でご予約下さい。(完全予約制)
シナジスは細い注射針を用いて、大腿部に毎月1回、注射部位を変えて注射を行います。体重により注射量が決まりますので、体重が増えますと、注射量も増えます。
シナジスはRSウィルス感染によって生じる重篤な肺炎などの予防をし、幼い赤ちゃんを秋から春にかけての寒い季節の期間守ってくれます。
RSウィルスにいったんかかると、感染後にはゼーゼーするような喘息を繰り返すこともあります。とくに、兄弟の多い方や、保育園に入られる方はRSウィルスにかかりやすくなるため注射をおすすめしています。33週から35週でお生まれになった方で、出生した病院でシナジス注射をすすめられない方でも、希望者は当院で積極的に注射をお引き受けします。どうぞ予約しておこしください。お待ちしています。
里帰り出産や、他院のNICUで生まれたお子様も当院でシナジス注射を受け、乳児検診は通常どおりに出生した病院のフォローアップ外来などでお受けになることができます。
注射に関わる費用は毎回健康保険でまかなわれます。
シナジス注射は、四種混合、BCG、ポリオなどのワクチン接種の予定に影響を与えませんので、それらを予定通り受けることができます。ご安心ください。
2013年より下記の方々もシナジス注射の適応となりました。注射適応の詳細は担当医にご確認ください。  
 ・24カ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児及び幼児  
 ・24カ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児及び幼児


⑥子宮頸がん予防ワクチンを小児科外来で行っています。
 2023年4月からシルガード9が新たに公費対象となりました。これから新たに開始する方は、シルガード9を使用することができます。 現在、定期接種として公費で受けられるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)の3種類があります。今後は多くの方が、シルガード9を選択すると思います。9価ワクチンは、HPVはいくつもの種類がありますが、その中で9種類のHPVの感染を防ぐワクチンです。子宮頸がんの原因の80〜90%を占める、7種類のHPV(HPV16/18/31/33/45/52/58型)の感染を予防することができるとされます。
厚生労働省のホームページに情報が記載されていますので最初に読んでみてください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html
シルガード9については以下の記載をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_9-valentHPVvaccine.html

子宮頸がん予防ワクチンの注射を通して、日常は会話に上らない性教育について家庭で考える良い機会にしていただければと思います。そのようなお手伝いも準備しています。子宮頸がんワクチンを娘さんに受けさせようと考えた御両親や御家族の熟慮と決断に対して小児科医からエールを送ります。

⑦心理検査
これまでなんとなく気になっていて、専門の医療機関を受診するか悩んでいる方に、外来で検査を行います(予約制)。最初に小児科外来で診察を受けていただき、その必要性を鑑みて検査予約いたします。症状によっては、適切な専門医療機関に紹介状をお書きします。